戸越銀座駅前の銀ちゃんバルーンの裏側を探るとコロナ禍での出会いと思いが隠されていた!
戸越銀座駅にある大きな銀ちゃんサンタのバルーン。
11月から戸越銀座駅前にある大きな銀ちゃんサンタのバルーン。
その大きな姿はとても気になりますし、多くの人の目を惹きます。
まるで駅や商店街の利用者を出迎えているようで見ていると少し笑ってしまいます。
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その他にも戸越銀座商店街の西側部分、戸越銀座駅から中原街道までの間で街灯などにサンタさんやステッキ、銀ちゃんの顔などのバルーンが飾り付けられています。
この気になるバルーンの飾り付けの裏側を探ってみました。
手がかりはこのツイート。
クリスマスな銀ちゃん、戸越銀座駅前に。駅前エリアのバルーンアートは電気屋のまみねさん発案だそう。今年はより楽しめるように飾り方も工夫されたとか。いらっしゃることあれば記念に写真もどうぞ🎄#とごしとわたし https://t.co/prGtr4OfZv pic.twitter.com/0vwEU58a7T
— 八木香保里 (@etcaetra) November 24, 2021
というわけで戸越銀座の電気屋まみねさんに突撃。
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すると発案やデザイン等は戸越銀座の電気屋まみねの小谷野さんがされたそう。
そしてPARTYSHOP drop’sの浅井さんがバルーンの制作と設置をされたと教えて下さいました。
そこで戸越銀座の電気屋まみねの小谷野さんとPARTYSHOP drop’sの浅井さんにお話しを伺いました。
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左 : 戸越銀座の電気屋まみねの小谷野敬子さん。 右 : PARTYSHOP drop’sの浅井泰彦さん。
バルーン装飾の提案とデザインを行った戸越銀座の電気屋まみねの小谷野さん。
戸越銀座の電気屋まみねは”ザ・街の電気屋さん”
「戸越銀座の電気屋まみね」は戸越銀座で創業し今年で71年。
配線工事、エアコン、照明の取り付けはもちろんのこと「リモコンが効かないから来て」のような電気関係のお困りごとはなんでも対応してくれる「ザ・街の電気屋さん」。
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時には電気以外のことまで相談されるほど頼りにされていて、他の専門業者を紹介することもあるとのこと。
創業者であるお父様が戸越八幡神社や町会のお祭りで音響や照明をずっと担当していた影響から「女の子が一人二人しかいない頃から御神輿を担いでいたほどどっぷりお祭りにつかっている」そう。
お店には趣味のコーナーと呼んでいる一角があり、そこにはお客様がぜひ置いて!と持ち込まれたものや自身のお気に入りのものが飾られている。
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コロナ禍になって始めたという小谷野さんが描く店頭のスタンド看板は通りを歩く人を和ませます。
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ほぼ毎月新作が描かれるスタンド看板はお店の前を通る際の私の密かな楽しみでもある。クオリティの高さに毎度驚かされる。2枚前のお店の外観写真にもクリスマスのイラストが写っている。
これらについて伺うと「とにかく見て笑顔になるものが好きなんです。ディズニーのように見ただけでワクワクしたり入った瞬間から笑顔になるものが」と小谷野さん。
「それと人を笑顔にするというのも好きです。その笑顔を見るのも楽しいですし」
この日の服にもディズニーの柄が入っています。
小谷野さんがいつも笑顔である理由が伝わってきます。
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コロナ禍で商店街のイベントは全て中止。
いつも商店街に遊びに来て下さいと呼びかけお店も開けていた小谷野さん。
しかしコロナ禍で創業以来初めて1ヶ月半もの間お店をお休みに。
「来て下さいが、なるべく来ないで下さい、来たら用事を済ませて早く帰って下さいに変わった」という。
商店街のイベントもオンラインで実施されたものを除き全て中止。
地元の生活を支える商店街ゆえお買い物する人は少なくないが、コロナ前の賑やかさはなく行き交う人も下向きがち。
「イベントはできなくても商店街を利用する方が笑顔になれるような何かができないかとずっと思っていた」
小谷野さんにはそんな思いが募っていました。
そういう中、昨年秋、小谷野さんはキラキラバルーンのかわいいお店がオープンしたことを知ります。
そのお店がPARTYSHOP drop’s。
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バルーンの制作と設置を担ったPARTYSHOP drop’sの浅井さん。
PARTYSHOP drop’sは日本に数社しかないとてもレアな”バルーン制作会社”が運営するショップ。
「PARTYSHOP drop’s」を運営する「D.Pバルーン」は、浅井さんが2003年に戸越のお隣ともいえる下神明で創業したバルーン制作会社。
事業拡大に伴い事務所が手狭になり、たまたま見つけた戸越銀座のビル内に移転。
このときは現在とは線路を挟んで反対側だったが、2011年に現在の場所に移ったとのこと。
D.Pバルーンはイベントスペースのディスプレー、キャラクターや企業広告など企業向けのバルーン制作と設置が事業の中心。
そのため以前はショップはありませんでした。
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ドームツアーのような大規模コンサートとともに全国を飛び回ったりチームラボのような有名施設に関わる一方で、地元幼稚園の謝恩会にも設置に赴くなど大小様々なイベントに携わってきたとのこと。
「実はアドバルーンを作っている会社が全国でも片手で収まってしまうほどしかないんです」と浅井さんは言います。
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私が2010年に渋谷駅でかわいい姿に惹かれて思わず撮った写真。全く知らずに撮っていたがこれも浅井さんが手がけたもの。見せてくださった写真の中にはファンならずとも見てみたくなるような超有名映画キャラクターの頭部の巨大バルーンも。権利関係上記事に出せないのが残念!皆さんもどこかで浅井さんが手がけたバルーンを見ているはず!?
「こんなに珍しい会社が戸越銀座にあったなんてスゴいこと」と小谷野さんも驚かれていました。
他の場所に工場もあるが、戸越銀座のお店の上にある作業場で現在もバルーンの制作が行われているそう。
「建物の前で大きいバルーンのチェックをしているとコレ何?といっぱい子供たちが寄ってきたりしますよ」と浅井さんは笑顔になります。
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PARTYSHOP drop’sオープンのきっかけはコロナ禍。
しかし2020年春以降コロナ禍でイベントやコンサート、展示会は減少します。
以前から建物に飾り付けたバルーンを見て飛び込みで譲って欲しいと訪ねてくるお客様が多かったこともあり、2020年9月にショップをオープン。
コロナ禍でご自宅でお祝い事などを楽しむ方が増えたこともあり、お問い合わせも増えているそう。
店内にたくさん並ぶキラキラのバルーンはお店の外からでも目を惹きます。
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ショップInstagramでステキなバルーンとお店の最新情報も発信されています。
商店街のバルーン装飾もコロナ禍がきっかけ。みんなを「笑顔に」。
PARTYSHOP drop’sを知った小谷野さんは、その後はお孫さんの誕生日のために見に来てみたり、お友達や商店街のお店の開業の際にお花などバルーンを何度かお願いしていたそう。
それとともにせっかく商店街に商店としてお店をやっているのであれば戸越銀座を一緒に盛り上げてくださいと商店街への加盟を要請。
そして昨年のクリスマスを前に小谷野さんに“商店街を利用する人を笑顔にするアイデア”が浮かびます。
それが通りをバルーンで飾ることでした。
以前ならクリスマスイルミネーションでライトアップした夜の商店街を楽しんでいただけたが、コロナ禍の夜は早いしライトアップ目的の外出が増えることは避けたい。
そこで昼間お買い物しながら目で見て楽しんでいただけるよう通りをバルーンで飾ることを商店街に提案。
そして「商店街のスター”銀ちゃん”で盛り上げてほしい」と浅井さんにお願いしました。
バルーン装飾は小谷野さんの希望を浅井さんが実現する形でできあがる。
飾り付けは小谷野さんのイメージをベースに、浅井さんがデザインとして起こし提案・確認、小谷野さんの意見を経て決定。
浅井さんの提案されるデザインは小谷野さんのイメージ通り。
ほぼ「そのままこれでお願いします」という感じで進んだという。
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3Dデータ化された銀ちゃんサンタ
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駅前モニュメントの写真に合成された完成イメージ。
「駅前の銀ちゃんの大きさは浅井さんにお任せしたんです。見てるだけで『えー!なに?』と微笑みが出るサイズで。コロナ禍で閉じこもった生活が続いているのでちょっとでも見たらニッと笑えるものができたら」と小谷野さんは笑います。
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バルーンの制作と設置は浅井さんが行いました。
今年の大きな銀ちゃんサンタについていえばデザインが固まってから急ぎで作って一週間程かかっているそう。
通りのバルーンの取付作業は人が少ない夜間に行われたがそれでも7時間ほどかかったとのこと。
「夜は大きなトラックの通行が多く昨年はその都度作業足場をどけていたので大変でした。今年は高所作業車をいれたため作業は少し楽になりました」と苦労があったことを聞かせてくれました。
昨シーズンの飾り付け。アーチに沿って飾り付けれらたバルーン。
昨年(2020)のクリスマスの銀ちゃんサンタ。
飾り付けのイメージを小谷野さんに伺いました。
「煙突に見立てた駅前のモニュメントに銀ちゃんサンタが上っています。クリスマスリースの中に銀ちゃんがいて、アーチに沿ってクリスマスカラーの緑色のバルーンを渡らせています」
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設置当初はプレゼントの袋を持ち忘れていたなんてこぼれ話も。
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今年(2021)のお正月の牛コス銀ちゃん。
「お正月はアーチを丑年の白と黒に変えています。駅の銀ちゃんは牛の仮装をしてバルーンに乗って新しい年に希望をもって飛び上がっていくイメージです」
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アーチの下部分の左よりに”SMILE”の文字のバルーンが見える。
今シーズンの飾り付け。駅前の銀ちゃんサンタのインパクトは笑ってしまうほど。
今年(2021)のクリスマス。
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駅前に飾るには十分大きなバルーンだが、浅井さんが制作するバルーンの中では小さい方。大きなものでは30mになるものもあったとこと。
遠くから見てもとても目立つ銀ちゃんサンタ。
浅井さんの力作は小谷野さんのイメージ通り見るだけでニッと笑えるものになっている。
「昨シーズンとの一番の違いは銀ちゃんです。うちはバルーン制作会社ですので今年は完全にオリジナルで制作しました。すべての銀ちゃんがオリジナルなのでそこを見ていただけたら。あと今年は街灯のバルーンの位置を思い切って下げています」と浅井さんは今年の見所を語ります。
去年よりバルーンがぐんと下がったことで歩くだけでより楽しめるようになっている。
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「バルーンが街灯に巻き付く形でクリスマスツリーのように飾ってあるのにも注目していただきたいです」
この巻き付けは小谷野さんのこだわりのようだ。
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新年バージョンも準備されている。1ヶ月程度飾られるのでゆっくり楽しみたい。
「クリスマス後には干支をイメージした飾り付けに変わります。是非楽しみにしていて下さい」と小谷野さん。
もうまもなくクリスマス。1ヶ月ほどの間みんなに笑顔を届けてきた銀ちゃんサンタとの別れも近い。写真を撮るならお早めに。
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そして新しい銀ちゃんのお目見えとなる。こちらも1ヶ月程度居る予定とのこと。
コロナ禍での出会いによって生まれた、コロナ禍ならではの思いのこもった飾り付け。
お買い物や通勤、通学の際、少しだけ目線を上げて歩いてみよう。
きっとほっこり、笑顔になるに違いない。
VENTO NUOVO代表・チーフデザイナー、撮影担当、よりみちとごし編集長
戸越銀座ウォーカー・しながわのガイドとして商店街と品川区周辺を散策しています
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